21世紀に入る頃から、ニートという言葉をよく聞くようになりました。
ニートにもきちんと意味があるのですが、どのような意味なのか、どういった感じで使用されているのかなどを詳しく見ていきたいと思います。
■ニートの意味は2つ存在している
日本でニートと言えば、無職で働く意思のない人と捉えることが多いでしょう。
もちろん間違ってはいませんが、ニートは無職で働く意思のない人全般を指すわけではありません。
ニートには年齢も定められており、15歳から34歳までとなっています。
そのため、無職であっても35歳以上の人はニートではありませんし、働く意思のある人、すなわち就職活動や職業訓練を行っている人もニートではないのです。
ニートというのは、1999年にイギリスで作成された調査報告書のNot in Education、Employment or Trainingから来ていると言われています。
この頭文字を取ってneetとなるのですが、実は英語ではもう1つニートという言葉が存在しています。
英語ではneatと書くのですが、この2つでは全く別の意味になるのです。
neetは日本でもよく知られている無職で働く意思のない15歳から34歳までの人のことですが、neatはきちんとしている人、素晴らしいことという意味になります。
ほぼ真逆の意味になっているのですが、他にもneatにはかわいいという意味や小ぶりなという意味、お酒のストレートという意味もあります。
最近は日本でも英語を多用する傾向にあるので、覚えておいて損はないでしょう。
■厚生労働省と内閣府が定めているニートの意味
ニートという言葉を定義しているのは、厚生労働省と内閣府になります。
一般的によく知られているのは、厚生労働省が定めているニートの意味でしょう。
15歳から34歳までの若者であり、仕事にも学校にも行っていない人と定めてあるのが特徴です。
それに対して内閣府の場合には、15歳から34歳まで若者で、通勤や通学、家事などを行っていない人と定めています。
また、働く意思のない人というのが双方に含まれているのが特徴です。
働く意思がある人はニートに含まれないため、家事をしている専業主婦や就職活動をしている人、アルバイトやパートで働いている人は含まれません。
両方ともほとんど同じ意味になっているのですが、異なっているのは厚生労働省の場合はニートと呼んでいるのが一般的なのに対して、内閣府では若年無業者という言葉を使用しています。
内閣府ではそこまで深くニートに関して触れていませんが、厚生労働省は仕事に関する業務が関係しているため、いろいろと触れられているのです。
ニートとフリーターの違いや、ニートと引きこもりの違いなどについても触れられています。
フリーターは働く意思がある、もしくは非正規雇用で働いている人で、15歳から34歳までとなります。
フリーターにもニートと同じく年齢制限が設けられているのが特徴です。
引きこもりは半年以上家族以外の人と交流をしておらず、就学や就労をしていない人のことになります。
フリーターとニートは明らかに異なっていますが、引きこもりとニートはよく似ています。
異なっている点は、ニートは他人との交流や外出の有無については記載されていません。
引きこもりは他人との交流や外出の有無についての記載がある反面、ニートやフリーターのように年齢制限がない点が違っているのです。
年齢制限があるフリーターやニートが35歳になった場合には、ニートであれば高齢ニートや中年ニートなどと呼ばれていて、フリーターは非正規雇用や普通にアルバイトで働いている人と呼ばれることが多いでしょう。
■アメリカではニートという言葉の意味は伝わらない
ニートというのはイギリスで作成された調査報告書から誕生した言葉です。
イギリスの公用語は英語なので、英語圏の国ならどこでも通用すると思う人も多いでしょう。
英語圏ではないのに、英語を多用するようになった日本でも普通に使用している言葉なので、イギリスと同じ英語圏のアメリカでも意味が伝わると考えている人もいるでしょうが、実はアメリカでは全く意味が伝わりません。
アメリカでは、無職で働く意思のない人のことをunemploymentと言っています。
unemploymentというのは、不就業という意味になります。
アメリカでニートというと、素晴らしいやかわいらしい、きちんとしているという意味のneatと同じ意味になるのです。
逆に日本では、素晴らしいやかわいらしい、きちんとしているという意味のneatという言葉はあまり使用されておらず、ニートと言えば無職で働く意思のない人と捉えられているのが一般的です。
■意味をしっかりと理解してニートという言葉を使う
ニートとは学校にも仕事にも行っておらず、働く意思がない15歳から34歳までの人を指します。
年齢制限があることを知らない人はいるでしょうが、無職で働く意思のない人というのは大半の人が知っているでしょう。
しかし、イギリスで誕生した英語であるにも関わらず、アメリカでは通用しませんし、イギリスではneatという別の意味を持つ言葉も存在しているのです。